2009年 12月 12日
ホッキョクグマとメディア |
ちょっと前にmixiで衝撃的な画像とともに報じられたニュースがありました。
ちなみにホッキョクグマはもともと同種(主に小熊)を捕食する習慣をもっています。目的は生殖活動をよりスムーズに進めるためらしく、この習性自体は地球温暖化とは関係ないみたいです。でもこれ、なんかきな臭いなーと思いつつも「温暖化ってこんなにひどいんだ―!」って持ってしまう人も作ってしまいそうで怖いですね。
<以下、ロイターより抜粋>
[チャーチル(加マニトバ州) 20日 ロイター] 米国が率いる国際的な科学調査によると、気候変動の影響でホッキョクグマが狩りをする北極圏の氷原が溶け、共食いをするクマが現れたことなどにより、ホッキョクグマの生息数が減少している。
11月20日には、カナダのマニトバ州チャーチルから300キロほど北で、オスのホッキョクグマが共食いした子グマの頭部を運ぶ写真も撮影されている。
*****
ちなみに"米国が率いる国際的な科学調査"ってなに?と素朴な疑問がわいたので調べてみました。まずは情報提供元として明記してあったReutersを当たってみました。
<以下、Restersより抜粋>
Climate change has turned some polar bears into cannibals as global warming melts their Arctic ice hunting grounds, reducing the polar bear population, according to a U.S.-led global scientific study on the impacts of climate change.
*****
"U.S.-led global scientific study"って正体不明ですね。日本のロイターはここからそのまま訳してるみたいです。当然か。次にタイムズ。
<以下、The timesより抜粋>
A male polar bear dragged the grisly remains of a cub that it caught and killed in the Hudson Bay area, Canada, after separating it from its mother — one of a growing number of instances of cannibalism on record, according to climate change campaigners.
The bears may be forced into eating their own kind when the slower formation of Arctic ice leaves them with a shrinking platform from which to hunt seals, according to a study by American and Canadian scientists in 2006. The World Meteorological Association reported yesterday at the UN climate change summit in Copenhagen that this decade is on track to become the warmest since records began in 1850, and 2009 could rank among the top five warmest years.
However, a local Inuit leader dismissed the idea of any link between cannibalism and climate change. Jose Kusugak, the president of the Kivalliq Inuit Association, told reporters: “A male polar bear eating a cub becomes a big story and they try to marry it with climate change and so on. It becomes absurd — when it’s a normal, normal occurrence.”
*****
どうやら例の"U.S.-led global scientific study"っていうのは、三つのレポートを見たときの主観的な見解という意味みたいです。適当すぎだろ。
タイムズには詳細が載っていました;
①地球環境変化の危機を呼び掛ける運動家(かなり意訳)の報告による共食い件数の増加(つーか信用できるのか?運動家って…)
②2006年にカナダとアメリカが共同で出した、地球温暖化によって縮小した氷床に残されることによってクマが共食いを強いられる「かも」しれないとした研究報告
③12月8日に発表された、2009年の気候は1850年から始まる観測史上からみてここ10年の気温の上昇トレンドの予測にそった形で推移しており、ベスト5に入る気温の高さを記録する「可能性がある」という報告
そして極めつけ、最終段落のイヌイットのリーダーのコメント「ホッキョクグマが小熊を食うのは昔からじゃ!温暖化のせいだなどと片腹痛いわ!」。ちなみに違う記事で彼は「そんな事言ってるとおバカにみえるからやめな」とやんわりいなしてます。
まとめると、共食いを"始める"ってまるっきり嘘だし、地球温暖化の影響についても推測の域を出てないということですよね?フェアにネタ元公開してイヌイットのインタビューとか入れてるタイムズに比べるとロイターひどいな…。
個人的には、一番価値が高いのは共食いしてる瞬間の写真だと思います。カメラ目線だし。この写真を使いたいがためのでっち上げ記事のような気がしてきた。似たような記事をたくさん見つけたんだけど、最近の新聞記者の人ってみんな取材とかせずに適当にネットサーフィンして記事書いてんのかなぁ…。それとも、記事の元締めみたいなところにお金払って買ってるんだろうか。
*出典
・ロイター 「気候変動でホッキョクグマが共食い始める=調査」
・REUTERS 「Polar bear turns cannibal」
・THE TIMES 「Climate change ‘ forcing polar bears to become cannibals’」
・MAIL 「The moment cannibal polar bear eats baby cub」
ちなみにホッキョクグマはもともと同種(主に小熊)を捕食する習慣をもっています。目的は生殖活動をよりスムーズに進めるためらしく、この習性自体は地球温暖化とは関係ないみたいです。でもこれ、なんかきな臭いなーと思いつつも「温暖化ってこんなにひどいんだ―!」って持ってしまう人も作ってしまいそうで怖いですね。
<以下、ロイターより抜粋>
[チャーチル(加マニトバ州) 20日 ロイター] 米国が率いる国際的な科学調査によると、気候変動の影響でホッキョクグマが狩りをする北極圏の氷原が溶け、共食いをするクマが現れたことなどにより、ホッキョクグマの生息数が減少している。
11月20日には、カナダのマニトバ州チャーチルから300キロほど北で、オスのホッキョクグマが共食いした子グマの頭部を運ぶ写真も撮影されている。
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ちなみに"米国が率いる国際的な科学調査"ってなに?と素朴な疑問がわいたので調べてみました。まずは情報提供元として明記してあったReutersを当たってみました。
<以下、Restersより抜粋>
Climate change has turned some polar bears into cannibals as global warming melts their Arctic ice hunting grounds, reducing the polar bear population, according to a U.S.-led global scientific study on the impacts of climate change.
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"U.S.-led global scientific study"って正体不明ですね。日本のロイターはここからそのまま訳してるみたいです。当然か。次にタイムズ。
<以下、The timesより抜粋>
A male polar bear dragged the grisly remains of a cub that it caught and killed in the Hudson Bay area, Canada, after separating it from its mother — one of a growing number of instances of cannibalism on record, according to climate change campaigners.
The bears may be forced into eating their own kind when the slower formation of Arctic ice leaves them with a shrinking platform from which to hunt seals, according to a study by American and Canadian scientists in 2006. The World Meteorological Association reported yesterday at the UN climate change summit in Copenhagen that this decade is on track to become the warmest since records began in 1850, and 2009 could rank among the top five warmest years.
However, a local Inuit leader dismissed the idea of any link between cannibalism and climate change. Jose Kusugak, the president of the Kivalliq Inuit Association, told reporters: “A male polar bear eating a cub becomes a big story and they try to marry it with climate change and so on. It becomes absurd — when it’s a normal, normal occurrence.”
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どうやら例の"U.S.-led global scientific study"っていうのは、三つのレポートを見たときの主観的な見解という意味みたいです。適当すぎだろ。
タイムズには詳細が載っていました;
①地球環境変化の危機を呼び掛ける運動家(かなり意訳)の報告による共食い件数の増加(つーか信用できるのか?運動家って…)
②2006年にカナダとアメリカが共同で出した、地球温暖化によって縮小した氷床に残されることによってクマが共食いを強いられる「かも」しれないとした研究報告
③12月8日に発表された、2009年の気候は1850年から始まる観測史上からみてここ10年の気温の上昇トレンドの予測にそった形で推移しており、ベスト5に入る気温の高さを記録する「可能性がある」という報告
そして極めつけ、最終段落のイヌイットのリーダーのコメント「ホッキョクグマが小熊を食うのは昔からじゃ!温暖化のせいだなどと片腹痛いわ!」。ちなみに違う記事で彼は「そんな事言ってるとおバカにみえるからやめな」とやんわりいなしてます。
まとめると、共食いを"始める"ってまるっきり嘘だし、地球温暖化の影響についても推測の域を出てないということですよね?フェアにネタ元公開してイヌイットのインタビューとか入れてるタイムズに比べるとロイターひどいな…。
個人的には、一番価値が高いのは共食いしてる瞬間の写真だと思います。カメラ目線だし。この写真を使いたいがためのでっち上げ記事のような気がしてきた。似たような記事をたくさん見つけたんだけど、最近の新聞記者の人ってみんな取材とかせずに適当にネットサーフィンして記事書いてんのかなぁ…。それとも、記事の元締めみたいなところにお金払って買ってるんだろうか。
*出典
・ロイター 「気候変動でホッキョクグマが共食い始める=調査」
・REUTERS 「Polar bear turns cannibal」
・THE TIMES 「Climate change ‘ forcing polar bears to become cannibals’」
・MAIL 「The moment cannibal polar bear eats baby cub」
by hamp-stead
| 2009-12-12 03:56
| ②社会・経済