2010年 01月 15日
2009年の本ベスト10 その2 |
こちらの続きです。では5位から。
5. 天才!成功する人々の法則/マルコム・グラッドウェル 原題は「アウトライアー」日本語に訳すと"外れ値"だそうです。人並み外れた成功を手に入れた人たちを、良く議論されがちな本人の資質という観点からではなく、Circumstance=環境要因及び環境要因と本人の資質の掛け算という観点から説明する本。
プロホッケー選手に一月生まれが多いのはなぜ?
ビル・ゲイツが大富豪になったことと彼の生年月日の関連性は?
たとえば選手生活の極序盤で何かの理由でわずかに同級生よりもすぐれているとみなされたとする。そうすると、よりすぐれた才能をもつものは才能を伸ばすのにより適した環境へと運ばれる。選別のサインとしてみられるそのごくわずかな差とは、同級生よりも数センチ大きく・コンマ何秒100メートルを走れる体躯である。そしてその差異は、生後何カ月経っているかという才能とは無縁と思われる無機質な事実に大きく影響される。
これが筆者の主張する持つ者はさらに豊かになり、持たざる者はとことん奪われるという「マタイの法則」。実際のプロホッケー選手の生年月日のリストを見た瞬間に戦慄が走りました。今まで漠然と考えていた"才能"という概念は、もしかしたらもっと理不尽なななにか別の力によって作られている側面もあるのかもしれない思ったからです。
ビル・ゲイツの下りは本書に譲るとして、ほかにも文化的な背景や時代の移り変わりなどの外部要因と本人の人生の舵取りが織りなすダンスを解説する、興味深い本です。
4. 沈まぬ太陽/山崎豊子 話題作ですね。まだアフリカ編の上巻を読み終わったところです。読む前は、エリート社員の恩地が一方的に理不尽な扱いを受けるが耐え忍ぶ、そういう話を想像していましたが、裏切られました。恩地もなかなかですね。
モデルの一人とされる小倉貫太郎さんの母校における講演の記録があります。山崎豊子さんの小説の恩地は若干湿っぽいんですが、小倉さんはカラッとしてます。この柳のようなしなやかさがあったからこそ動物学者としての実績もあるんでしょうね。映画の上映ってもう終わったのかな…。サヨナライツカとともに観ておきたいです。
3. 節約の王道/林望 お金の使い方にこそ、その人の生き様や品格が出る。節約とは一種の美学だなぁと思わせてくれた一冊。ちょっと昔なら偏屈なおじさんがなにか言ってる…くらいに思ってする―してたかもしれません。プラチナカードだなんだと言って散財していたころの自分がものすごく恥ずかしいですが、林望先生流に行くと「直視」できてるだけまだ望みありかな。
この本から節約テクニックとか学ぼうと思って買うと失敗します。何せタイトルは「節約の王道」ですから。当たり前のことしか書いてありません。ただ、その分"なぜ"を徹底的に語ってくれます。"なぜ"ブランド品よりもテーラー仕立てなのか、"なぜ"小学校は公立でよいのか、"なぜ"特売チラシをみてはいけないのか。
小手先のテクニックを知り1円単位のお金を守銭奴のように集めるのではなく、少し長いスパンで考えて本当に合理的だと信じることを淡々とこなす。逆にいうと、この本を読んだ後で「やっぱりブランド物を買うべき」と考える人が出てきてしかるべきだし、結論はどうあれまわりに踊らされずに自分の信念を持ちなさいという本です。
読んでいて、白州太郎を思い出しました。林望先生もイギリスにいらっしゃったことがあるようですね。深い人格教育って、昨今の合理主義とはまた違う魅力があります。イギリスに住んでみたいと思いました。
2. マネーボール/マイケル・ルイス オークランド・アスレチックスというお金のない弱小チームが、金銭ゲームと呼ばれるようになった大リーグの野球において限られた資源を最大限に生かしながら快勝を積み重ねる痛快な話です。ノンフィクション。
おっきなホームランを打つ選手が本当に有望なのか?
ほれぼれするような体躯を持った甘いマスクの選手が本当に有望なのか?
このチームのブレインたちは、最初からこういう問いを持っていたわけではなく、限られた予算の中でできる限りチームの勝率を上げてくれる選手を探さなければいけないという課題を与えられてデータを駆使しながら"掘り出し物"の選手で強いチームを作り上げていきます。
野球を「ホームベースをできるだけ多く踏んだ方が勝つ」ゲームと定義した時、ホームベースを踏む数に一番近い要素は何か?マーケティングにかかわる人だけでなく、日常生活でも"てこ"を効かせて飛躍するためのヒントに満ちた本ですね。併読書として「その数学が戦略を決める」も面白いかと思います。興味のある方はどうぞ。
1. 大人げない大人になれ!/成毛眞 日本に帰った時、ジュンク堂で買った後三宮のタリーズで一気に読みました。もうねー、おかしくて何回笑いをかみ殺したことか。ビル・ゲイツが会議中にキレまくる横で「今電話中だからちょっと静かにしれくれる?」とあしらう成毛さんとか、ノーベル賞の授賞式ではにかみながら「たいそう嬉しくない」とかいっちゃう益川さんとか、おちゃめな大人の宝石箱みたいな序盤です。
生きるテクニックではなく、生きる力を自分の中からどうやって見つけるかという話です。読み終わった後は5ページにもわたっていろんなアイデアが湧き出てきました。最近なんか閉塞感を感じるって人、立ち読みでもいいからのぞいてみてください。
ちなみに共著となっている石田君とは、就活のインターンで会って以来の友人ですが、彼もすごいお茶目です。毒舌なんですが全く憎めない。不良ぶってるマルチーズみたいな人です。巻末で彼がインスパイア(成毛さんの会社)に入社することを決めた経緯に触れられているんですが、これが傑作ですね。もしこれ見てたら南の島に来てください。送別会のお礼しまっせ。
次回はベストテンに入れるのは違うけど、個人的にヒットだった番外編やろうと思います。
5. 天才!成功する人々の法則/マルコム・グラッドウェル
プロホッケー選手に一月生まれが多いのはなぜ?
ビル・ゲイツが大富豪になったことと彼の生年月日の関連性は?
たとえば選手生活の極序盤で何かの理由でわずかに同級生よりもすぐれているとみなされたとする。そうすると、よりすぐれた才能をもつものは才能を伸ばすのにより適した環境へと運ばれる。選別のサインとしてみられるそのごくわずかな差とは、同級生よりも数センチ大きく・コンマ何秒100メートルを走れる体躯である。そしてその差異は、生後何カ月経っているかという才能とは無縁と思われる無機質な事実に大きく影響される。
これが筆者の主張する持つ者はさらに豊かになり、持たざる者はとことん奪われるという「マタイの法則」。実際のプロホッケー選手の生年月日のリストを見た瞬間に戦慄が走りました。今まで漠然と考えていた"才能"という概念は、もしかしたらもっと理不尽なななにか別の力によって作られている側面もあるのかもしれない思ったからです。
ビル・ゲイツの下りは本書に譲るとして、ほかにも文化的な背景や時代の移り変わりなどの外部要因と本人の人生の舵取りが織りなすダンスを解説する、興味深い本です。
4. 沈まぬ太陽/山崎豊子
モデルの一人とされる小倉貫太郎さんの母校における講演の記録があります。山崎豊子さんの小説の恩地は若干湿っぽいんですが、小倉さんはカラッとしてます。この柳のようなしなやかさがあったからこそ動物学者としての実績もあるんでしょうね。映画の上映ってもう終わったのかな…。サヨナライツカとともに観ておきたいです。
3. 節約の王道/林望
この本から節約テクニックとか学ぼうと思って買うと失敗します。何せタイトルは「節約の王道」ですから。当たり前のことしか書いてありません。ただ、その分"なぜ"を徹底的に語ってくれます。"なぜ"ブランド品よりもテーラー仕立てなのか、"なぜ"小学校は公立でよいのか、"なぜ"特売チラシをみてはいけないのか。
小手先のテクニックを知り1円単位のお金を守銭奴のように集めるのではなく、少し長いスパンで考えて本当に合理的だと信じることを淡々とこなす。逆にいうと、この本を読んだ後で「やっぱりブランド物を買うべき」と考える人が出てきてしかるべきだし、結論はどうあれまわりに踊らされずに自分の信念を持ちなさいという本です。
読んでいて、白州太郎を思い出しました。林望先生もイギリスにいらっしゃったことがあるようですね。深い人格教育って、昨今の合理主義とはまた違う魅力があります。イギリスに住んでみたいと思いました。
2. マネーボール/マイケル・ルイス
おっきなホームランを打つ選手が本当に有望なのか?
ほれぼれするような体躯を持った甘いマスクの選手が本当に有望なのか?
このチームのブレインたちは、最初からこういう問いを持っていたわけではなく、限られた予算の中でできる限りチームの勝率を上げてくれる選手を探さなければいけないという課題を与えられてデータを駆使しながら"掘り出し物"の選手で強いチームを作り上げていきます。
野球を「ホームベースをできるだけ多く踏んだ方が勝つ」ゲームと定義した時、ホームベースを踏む数に一番近い要素は何か?マーケティングにかかわる人だけでなく、日常生活でも"てこ"を効かせて飛躍するためのヒントに満ちた本ですね。併読書として「その数学が戦略を決める」も面白いかと思います。興味のある方はどうぞ。
1. 大人げない大人になれ!/成毛眞
生きるテクニックではなく、生きる力を自分の中からどうやって見つけるかという話です。読み終わった後は5ページにもわたっていろんなアイデアが湧き出てきました。最近なんか閉塞感を感じるって人、立ち読みでもいいからのぞいてみてください。
ちなみに共著となっている石田君とは、就活のインターンで会って以来の友人ですが、彼もすごいお茶目です。毒舌なんですが全く憎めない。不良ぶってるマルチーズみたいな人です。巻末で彼がインスパイア(成毛さんの会社)に入社することを決めた経緯に触れられているんですが、これが傑作ですね。もしこれ見てたら南の島に来てください。送別会のお礼しまっせ。
次回はベストテンに入れるのは違うけど、個人的にヒットだった番外編やろうと思います。
by hamp-stead
| 2010-01-15 01:13
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